ゼネコンからの転職。効率よく転職先を探すには?おすすめの転職先も
「地図に残る仕事」に携わり、社会貢献度も給与も高いゼネコンは、就活生はもちろん、転職市場においても常に絶大な人気を誇っています。しかし現場では、さまざまな事情からゼネコンから離職する人も少なくありません。実際に現在、転職を検討しつつも日々の多忙から転職の情報収集ができず、ゼネコンからの転職に踏み込めない人もいるのでは?
そこで当記事では、ゼネコンを退職したい人に向けて、おすすめの転職先や効率よく転職先を探す方法をご紹介します。
この記事のもくじ
ゼネコンから転職する理由
転職する理由は人それぞれですが、ゼネコンならではの独特な体質も深く関与しています。それぞれ詳しく見ていきましょう。
年功序列体質
特に日本の老舗企業は年功序列体質が多いですが、とりわけ建設・建築業界はそれが顕著だと言われています。その原因のひとつに従業員の高齢化があります。建設業界においては55歳以上の就業者が約34%であり、昔ながらの年功序列の考え方が根強く横行しているため、若手はいくら頑張っても給与に反映されません。もちろんモチベーションが下がるのは当然です。
クライアントと下請けとの板挟みによるストレス
ゼネコンは、発注者から依頼を請け、下請け業者に工事を発注しマネジメントするのが主な仕事ですが、この時、どちらの意見も尊重しながら工事を遂行する必要があるため精神を疲弊しがちです。時には発注者から無茶ぶりを言われ、下請け業者に頭を下げることもあります。この板挟みの状況にストレスを感じる人も多いようです。
長時間労働
ゼネコンは、大手になればなるほどスケールが大きい建築土木工事を施工します。当然、施工をマネジメントする施工管理の負担も大きくなります。そんな中、事故や天災などで工事が中断されると残業や休日出勤でカバーせざるを得ません。その結果、長時間労働を招いてしまいます。どうしてもワークライフバランスが崩れてしまうので、特に現場の施工管理は転職に踏み切ることが多く見られます。
転勤が多い
中堅ゼネコン以上になると、日本全国、あるいは海外にも拠点やプロジェクトを持っています。そのため、プロジェクトの現場担当者は、プロジェクト終了とともに転勤が発生します。
一方、総合職だからといって油断はできません。「転勤あり」の条件を受け入れて雇用契約を結んだ場合は、数年おきに転勤を命じられるケースもあります。家族がいる場合、自分だけ単身赴任をするという手段もありますが、決断は難しいものです。
参考:国土交通省 建設業就業者の現状
ゼネコンから転職しやすい仕事とは?
結論から言うと、業界も職種も変えずに自社以外のゼネコンに転職するのがもっとも確実な転職成功への近道ですが、こちらでは、あえて異業種への転職を前提に転職しやすい仕事をご紹介します。
ハウスメーカーなどの営業職
ゼネコンは、多職種と連携しながらチームで1つの建造物を造りあげていきます。営業職はチームワークを高めることで企業の売上に貢献することから、ゼネコンとの共通点があります。
特に建設業界は体育会系色が濃く、労働者には体力とチームワークに必要なコミュニケーション力が備わっています。建設に関わる知識を活かせるハウスメーカーや不動産仲介業の営業職への転職なら、見通しが明るいでしょう。
不動産開発業(デベロッパー)
不動産業界の中でも、特にデベロッパー(発注者)はゼネコンの総合的なスキルを活かせます。
デベロッパーの主な仕事は、建築物の企画や開発です。デベロッパーと受注者(ゼネコン)の相互関係にあり、建築物の企画や開発が街をどのように活性化させるか、どのような街につくりあげたいかを考える時に、実際に現場で街づくりを担っていたゼネコンの知識や経験をデベロッパーの仕事に活かせます。
地方公務員
公務員というとデスクワークのイメージが強いですが、公務員には現場業務を行う土木職もあります。土木職を選べば現場でゼネコンのスキルが忌憚なく活かせることでしょう。ただし、公務員として転職するためには、公務員試験に合格する必要があります。また、案定職のため競争率が高く、合格率が低めなのが実情です。
WEB業界
ゼネコンには納期があり、特に施工管理にはスケジュール管理などのマネジメントスキルが求められます。WebディレクターやWeb編集者は進行管理が重要な業務の1つです。特に住宅関連のWeb広告やハウスメーカーのホームページには専門的な知識が求められ、一定の需要があるためゼネコンでの知識やスキルを活かしディレクターやライターとして活躍できる可能性もあります。
製造業
製造業と建設業(特に施工管理などの技術職)の共通点は、どちらも「管理」をする点です。人の管理、モノの管理などで相違点はありますが、マネジメントするという点では共通しています。どちらの業種も目の前には顧客がいる責任重大な業種であり、リスク管理も求められます。「モノづくり」という共通点もあるので、仕事にも慣れやすいでしょう。
設計士
施工管理の業務には、設計図を読むための知識が既に備わっています。設計士は建築士とは異なり無資格でもOKなので、施工管理で得た知識やスキルを活かして設計士として働く人も多いようです。
ゼネコンから異業種に転職する際のポイント
ゼネコンに限りませんが、一般的に異業種に転職する際に意識したいのは、「転職先でキャリアを活かせるか」「退職したい原因をクリアできる転職先か」です。そしてゼネコンからの異業種への転職についてもっとも決定的な悩みどころが、「給与が下がっても納得できる転職先か」ということではないでしょうか。それぞれ説明します。
ゼネコンで得た資格や経験を活かせる職種を選ぶ
まったく未経験の異業種への挑戦でも、ゼネコンで培った経験や資格を活かせる職種はあります。スキルをリユースできて、それをしっかり転職時にアピールできれば、収入面での不安はないはずです。
例えば施工管理として大きなプロジェクトを動かし、人員のマネジメントもしていたなら、ほかの業種でもディレクターやマネージャーとして活躍できる可能性があります。
退職したい原因をクリアできる転職先を選ぶ
ゼネコンから退職したい理由は何でしょうか。例えば長時間労働がネックだとしたら、公務員などのように定時でしっかりと終業する転職先を選ぶべきですし、年功序列体質が退職理由だとしたら、公務員のような縦社会は不向きです。
譲れないことに優先順位をつけて、すべてクリアできるものとは思わず、まずはもっとも譲れないものをクリアできる転職先をいくつか選択肢にして転職に挑みましょう。
給与が下がっても納得できる転職先を選ぶ
一般的にゼネコンの給与はほかの業種と比較して高く設定されています。特にスーパーゼネコンの年収は1,000万円並みです。一方、国税庁の「令和2年分民間給与実態統計調査」によると、日本人の平均給与は433万円です。約1/2に給与が下がっても納得できる転職先を選ばないと現実的にやっていけません。一度上がった金銭感覚の水準を下げるのは難しいものです。
納得できる転職先は人それぞれですが、給与面ではゼネコンを上回る転職先はほぼない、と覚悟して転職先を検討してください。
参考:国税庁 令和2年分民間給与実態統計調査
【番外編】将来性がある業界かどうか見極める
希望の業界に転職できたとしても、その業界に将来性がなければ職を失いかねません。ICT化が進む中で、将来的にAIにとって代わられる企業で働いても見通しが暗いことになります。業界の将来性を見極めた上で転職するようにしましょう。なお、コロナ禍の追い風もあり、今後も医療・介護業界、IT業界、物流業界は伸びると予測されています。
異業種に転職する場合、転職先の探し方
ゼネコンから異業種に転職する場合、どのように転職先を探せば良いのでしょうか。手っ取り早いのが求人誌や転職サイトですが、ゼネコン一筋でやってきた場合、まず世の中にどんな業種や職種があるのか分からないといったことはありませんか?
業種や職種から知りたい場合、あるいは自分の適正を知りたい場合は、転職のプロに相談することがもっとも有益かつ効率的です。そして、転職のプロというのが、転職エージェントです。無料で専門のアドバイザーが転職のサポートをしてくれます。
転職のサポートも求人を案内してくれるだけではなく、応募書類の添削や面接対策など幅広くカバー。「今、転職して良いのか分からない」そんな段階だとしても、相談だけでも問題ありません。
なお、明確に転職したい業種が決まっているなら、業種に特化したエージェントに相談するのがおすすめです。ポイントは、1社だけではなく複数登録することです。なぜなら、エージェントによって抱えている求人、インターネットには掲載されていない非公開求人が異なるからです。大手のエージェントに加え、少しでも興味がある業界に特化したエージェントに2~3社登録しましょう。
まとめ:転職エージェントはゼネコンからの卒業を支えてくれる
ゼネコンから異業種に転職を検討した時、まず自分が転職したい理由を見極めることが重要です。頭でぼんやり考えているだけではなく、紙などに書いて視覚的にもインプットしましょう。転職エージェントに相談する際も話が早くなります。
ゼネコンの仕事で得た屈強な精神力、体力は一生モノです。それを活かすとともに転職エージェントを賢く利用することで、異業種への転職成功を掴みとってください。