退職勧告が出てしまった。これはどういう意味?どうすれば良い?違法??
「やばい、退職勧告が出た…」もしかして現在そのような状態でお困りでしょうか。そのような事態に慌てふためいている方も、そうでない方も働く上できっちりと知っておきたいのが万が一の「退職勧告」についてです。この記事では、もし退職勧告にあった場合にすべき行動、退職勧告の意味、そして泣き寝入りしないために知っておかねばならい知識にポイントを絞って解説します。
この記事のもくじ
今すぐ知っておくべき・やるべきこと
退職勧告が出たら、予期していた場合でも予期していなかった場合でも誰しもが動揺するものです。しかし、わなわなしているだけでは何の状況も改善しません。大切なのは、きちんとした知識と対処法を知っておくことです。そうすることによって会社の言いなりになることなく、権利を主張しながら進めることができるからです。
退職勧告の正しい意味と手法
まずは退職勧告というものの正しい意味を理解しておく必要があります。退職勧告は、退職勧奨とも呼ばれており、「あなたが自発的に会社を去る(退職する)ように、ありとあらゆる方法を使って導く方法」を指します。「肩たたき」とも呼ばれており、こちらの言い方はこれまでに耳にしたことがあるという方が大半のではないでしょうか。
退職勧奨の手口はさまざまですが、一例として以下のような方法を会社は取ってくることがあります。
- 「この仕事はあなたに向いていないのではないか?」と誘導してくる
- 「あなたにはもっと向いている職場があるはずだ」と説得してくる
- 「この会社にいても、将来見えないから…」と諭してくる
- 「クビになる前に、自分で退職を願い出てみたら?」とアドバイスしてくる
- 「こんな働き方じゃダメなんだ!周りの社員の迷惑にもなる!」などと厳しく叱責する
- 「いいよ、定時まで座ってくれていれば!」などと仕事を与えない
- 「少し休んでみたらどうですか?」と産業医などを介して勧めてくる
どれも実際にされると精神的にも肉体的にもダメージを受けるような内容ですが、ブラック企業と呼ばれるような企業の場合、積極的に悪質な方法を使って退職勧告をしてくるというケースも多くあるようです。
退職勧告が出されたらしなければいけないことは何?
これらのような手法で退職勧告をされた場合、どのような行動を取らなくてはならないかも知っておきましょう。悪質な手法を使ってくる上司や会社の言いなりになって「そうですね、おっしゃる通りです。」と言ってしまいそうになる前に、しっかりとした権利に関する知識を味方につけましょう。大前提は退職届、退職する旨の記載された書類などに絶対にサインをしないことです。その上で「これは退職勧告だ!」と感じたときに取るべきアクションは以下のとおりです。
1. 弁護士に相談する
素人の知識だけで退職勧告に立ち向かうのは不安があります。退職勧告に関して対処した経験のある弁護士に相談し、現状を包み隠さず話しましょう。
2. 退職勧告を拒む
会社に「辞めたらどうだ?」と言われたからといって、自分に落ち度がないと思う自信があり、その退職勧告が理不尽だと感じる場合には素直に聞き入れる義務はありません。
3. 退職を迫る理由を聞く
退職勧告を拒んだ上で、退職勧告の対象となった理由を聞いてみましょう。何とも聞きにくいことではありますが、勤めている会社で働き続けたいと考えているのであれば絶対に聞かなくてはいけません。
4. やり取りは録音など記録する
徹底的に拒んだ上で、上司が執拗に退職勧告を続けてくる場合には、言動を録音して記録しておくようにしましょう。メールなどで退職勧告をしてくる場合にはそのメールも保存し、削除されてしまわないような方法で保管しておきましょう。
5. 経緯をまとめておく
何月何日にどこで誰に退職勧告と思われることを言われたのか、日記・メモに記録しておきましょう。
6. 内容証明を送る
2.から5.までの工程を完了したら、内容証明郵便を送り退職勧告をやめてもらうように会社に対して通告しましょう。内容証明そのものは誰でも郵送できますが、こちら側には弁護士がきちんと存在していることを伝えるためにも、弁護士の名前で郵送するほうがより良い選択でしょう。
7. 差し止めの仮処分
弁護士から会社に対して内容証明郵送を行ってもなお退職勧告を辞めない場合には、「差し止めの仮処分」という手段を使います。これは裁判所が会社に対して「裁判で解決するとなると時間・費用などが生じるため、ひとまず退職勧告を辞めること」と通達(命令)するものです。裁判所はこの時点で会社、本人の言い分を聞いてくれるので判断は裁判所に委ねられることになります。
退職推奨と退職勧告、解雇の違い
ここまで読んでおそらく多くの人が、「退職勧奨、退職勧告、解雇はどう違うの?」ということに気づかれたのではないかと思います。先程退職勧告については説明しましたが、今一度退職勧告以外のそれぞれの意味について触れましょう。
退職勧奨
こちらは退職勧告と同義です。会社が従業員に対して退職を迫り、自己都合で退職するように促す行為を指して退職勧告・退職勧奨と呼びます。退職勧告・退職勧奨の場合には、従業員が退職する上でいくつか条件を提示して退職する(退職金や有給休暇買い取りなど)ことが可能です。
解雇
一方解雇の場合には就業規則で定めている「解雇基準」に抵触する内容の事象があれば会社が解雇を決定できるというものです。ただしその場合には30日前に解雇予告をする必要があり、その30日間が守られずに解雇となった場合には日数分の解雇予告手当を会社側が対象となる従業員に支払う必要が生じます。退職勧奨・退職勧告が最終的に従業員の自主的な退職につながるのに対し、解雇はあくまで会社側の一方的な決定であり、従業員側の意志というものは一切尊重されません。
退職勧告が違法とされるのはどんな時?
これまでご説明したとおり、退職勧告はあくまで会社から「辞めてはどうだろうか?」というお願いであるため、最終的に退職するかどうかを決める決定権はあなた自身にあり、退職勧告をすることそのものは直接的に違法な行為にはなりません。
ただし、脅迫めいた内容で退職勧告をする場合にはそれは間違いなく違法と言えるでしょう。また社会的に不相当な方法で退職勧告をした場合にも同様です。
まだ退職勧告はされていないけれどやめさせられそうな時は…
まだはっきりと退職勧告と思われる言動はされていないけれど、なんとなくやめさせられそうな予感がするとき、どうしたら良いのでしょうか。退職勧告そのものもあくまであなたの意志で最終的な結論が出せるのですが、それよりも前からきちんと自分の意志を持って行動するように努めましょう。
- 勤務態度はきちんとしているか?
- 遅刻・無断欠勤はしていないか?
- 同僚に対して迷惑行為はしていないか?
- 会社の風紀を乱すような行為をしていないか?
- 会社の名誉を傷つけるような反社会的な行動をしてはいないか?
このようなポイントでまず自分自身を振り返り、改善が必要、もしくは改善ができそうなポイントがあれば目に見える方法で改善していきましょう。また、退職勧告にかんする注意点でも触れたように、どのような理由で退職勧告の対象となっているのかをしっかりと聞きましょう。
まとめ
解雇と聞くと「クビ」というキーワードが浮かび、背筋の凍るようなイメージがありますが、退職勧告と聞くとまだ猶予があるように感じる方もいらっしゃるのではないかと思います。しかしどのようなイメージであれ退職を促されているという事実には変わりないので、まず自分のすべき行動をきちんと洗い出し、すぐに行動を起こすようにしましょう。