退職届でも好印象を与えるテンプレート【はじめての円満退職への道】
転職を決意したけれど、退職届ってどうやって書けばいいの?いつ、誰に渡せばいいの?といった疑問を持っている人も多いのではないでしょうか?
転職することを決めたとは言え、在籍している会社を自分の意志だけで退職できるわけではありません。関係者との調整を経て、実現するものだということをきちんと理解しておきましょう。
関係を良好なままに保って送り出してもらうためには、ルールを守って真摯に対応することがとても大切です。円満退職のために必要なマナーやルールを紹介するので、実行に移す前にしっかり確認しておきましょう。
この記事のもくじ
退職まで悪印象を与えない退職届の正しい書き方
会社に退職することを承認されたのち、退職の意思表示をするための書類が、退職届です。
まず、退職届の正しい書き方をマスターしましょう。
ここでは、ポイントを8つ紹介します。作成前に必ず目を通しておきましょう。
※会社規定の書面がある場合は、そちらを使用してください。
退職届を書くためのポイント
- [1]冒頭行:「退職届」と書きます。
- [2]書き出し:わたくしごとではありますが…という意味の「私儀」または「私事」を使いましょう。本文一行目の下部に記載することで、謙虚さを表します。
- [3]退職理由:自己都合退職の場合は、「一身上の都合により」と記載します。
※会社都合の場合で、退職届の提出を求められた際は、「事業不振による事業所閉鎖のため」などの具体的な理由を書きましょう。 - [4]退職日:上司と相談の上、決定した年月日を記載します。
西暦・元号どちらでも可能です。会社規定があれば従い、なければ会社の公式書類を参考にすることをおすすめします。 - [5]文末:退職が承認された後に提出する書類のため、「退職いたします」と書きます。
- [6]届出年月日:提出する年月日を記入します。
- [7]所属部署・氏名:宛名より下の位置に、正式な部署名とフルネームを記載し、名前の下に捺印します。
- [8]宛名:組織の最高執行責任者の役職とフルネームを書きます。
敬称は「殿」か「様」とし、必ず自分の名前より上に書きます。会社名も省略せず、「株式会社●●●●」と記載しましょう。
上記を軽んじて、マナーを守らずに提出すると、悪印象を与えることになります。また、間違いや抜け漏れがあると手続きが滞る可能性があります。そうなると、円満退職どころか、希望日に退職できなくなるということも考えられます。
ルールを守るのはもちろん、書き終わったら、必ず確認するようにしましょう。
退職届を書く時に使えるテンプレート
上記に記載した内容を元に、一般的なテンプレートをご紹介します。
退職届は、縦書きが基本とされていますが、最近は横書き指定のケースもあるようなので、両方ご紹介しておきます。
縦書き
横書き
退職届にまつわるよくある疑問
退職届の書き方以外にも、封筒に入れたほうが良いのか、そもそも必ず提出しなければならないのか、など分からないことがたくさんあると思います。よくある質問を取り上げ、ひとつひとつ解説していきますので、併せて確認しておきましょう。
退職届は手書きで書く必要あり?
退職届は、会社と個人の雇用契約を解消するための重要な書類です。本人が書いたものであることを確認できること、労力を要する手書きのほうがより誠意が伝わるという点から、手書きが一般的とされています。
しかし最近では、本人と直接やりとりをしていて、本人が作成したものだとわかる場合は、パソコンで作成したものでも受け付ける場合がほとんどです。
会社から書き方やフォーマットの指定がある場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
封筒に退職届を必ず入れないといけない?
上記の通り、退職届は重要な書類のため、封筒に入れて提出するのがマナーです。封筒は、履歴書やエントリーシート、領収書などあらたまった場面で使われる「白封筒」を選びましょう。郵便番号を記載する四角がなく、中身が透けないよう裏地のついているものが好ましいです。
表面に「退職届」、裏面左下にあなたの所属部署とフルネームをずらして書きましょう。
書類は、長辺を三つ折りにして、封筒に入れます。
折り方は、下から上に3分の1折り上げ、上から下に折り重ねます。受け取った人が確認しやすいよう、封筒の裏面に書類の右上方(書き出し部分)がくるように入れましょう。
この折り方は、他の場面でも活用できる基本的なマナーのため、しっかり身に着けておきましょう。
また、手渡しであれば、のり付けの必要はありません。ただし、元々のりシールがついている場合は、そのまま渡すと見栄えが良くないため、しっかり封をし、ボールペンで「〆」を記載しましょう。封付けしない場合は、「〆」は不要です。
退職届は必ず提出しなくてはいけない?
法的には、口頭のみの意思表示でも認められています。
しかし、口頭だけでは「言った・言わない」で後からもめる可能性があるため、事務手続きの記録として提出することが望ましいです。そういった理由から、会社の規定として提出を義務付けているところも多いようです。
誰に、どうやって退職届を提出するの?
退職は、本人の意思のみで決められるものではありません。
退職する意志が固まったら、まず直属の上司に退職を申し出ましょう。(退職願の提出、口頭のみでもOK)退職は個人的な相談のため、上司の仕事の状況を見て、時間をもらうようにします。
上司の承認を得たのち、本人の希望と業務状況などを踏まえ、退職日を決めます。退職日が確定したら、上司の指示または就業規則に従って退職届を作成し、直属の上司に提出します。
なお、法律上は、退職日の14日前までに退職の意思を表示すれば、退職することができます。しかし、一般的には希望退職日の1~2か月前に申し出ると定めていることが多いです。
円満退職のためには、ルールを守って手続きを進めることが大切なため、必ず在籍している会社の就業規則を確認してから、申し出るようにしましょう。
用紙の指定はあるの?
用紙サイズは、B5かA4を選びますが、手書きの場合は、便箋サイズでも問題ありません。
罫線有りでも無地でもどちらでも可能です。黒色のボールペンや万年筆など、消せないペンを使って作成しましょう。
退職届を受け取ってもらえない場合はどうしたらいいの?
直属の上司が退職交渉に応じてくれない場合は、その上の上司に「直属の上司に退職を申し出たが、交渉に応じてもらえない」ことを相談するようにしましょう。それでも難しい場合は、所属する部署の部門長まで、それでも取り合ってもらえない場合は、人事部へ相談しましょう。
仕事の進め方と同様に、決裁する順番に相談者を変えることがポイントです。
直属の上司との関係性が悪いからと言って、直属の上司を飛ばしていきなりその上の上司に相談することは、マナー違反になるので、避けるようにしましょう。
退職届を提出後、撤回できるの?
退職届は、基本的に撤回できません。
上司に提出した時点で、労働者側から労働契約を解除したことになるため、しっかりと退職の意志が固まった段階で提出するようにしましょう。
退職願や辞表とは違うの?
退職届・退職願・辞表は、まったく異なるものです。退職が確定後に会社に申し出るのが「退職届」、退職したいという打診をするのが「退職願」、経営層が役職を辞めるときや公務員が退職する際に届け出るのが「辞表」です。
また、退職願については、退職の意志が固まった段階で、直属の上司に提出しましょう。口頭でも問題ありません。転職先が決まっているなど退職交渉の時間が少ない場合は、意思の固さを示すことができ、退職の申し入れをした根拠となるため、書面での提出がおすすめです。
退職の承認が得られたら、退職日を決定し、退職届の提出準備を進めます。
まとめ
退職は、自分の意思だけで進められるものではないということを理解し、退職の意志が固まったら、まず就業規則を確認しましょう。
いつまでに退職の申し出をすればよいのか、退職届の書き方やフォーマットの指定がないか、などの記載内容をしっかり確認し、指示に従って退職届の提出準備を進めましょう。
上司や会社の立場に立ち、ルールやマナーを守って対応し、円満退職を実現しましょう。