未経験や第二新卒でも法務事務に転職するには?仕事のやりがい、スキル、転職方法の本当のところ
バックオフィス(管理部門)の中でも、花形と言われる法務の仕事に憧れを持つ人も多いのでは。いかにもハイキャリアといったイメージですが、果たして未経験や第二新卒から法務事務に転職できるのでしょうか。
結論から言うと、かなり難しいです。それでも可能性は0ではありません。本記事では、未経験や第二新卒から法務事務を目指すためのアイデアとヒントを解説します。
この記事のもくじ
法務事務とは?
- 企業で法律関係の事務を行う
- 法律に関する専門知識が不可欠
企業の法務部において、法的な案件に関する事務作業を行うのが「法務事務」です。事務作業以外に、法的トラブルや法改正への対応なども担当します。
法律という専門的な分野における職種であり、専門知識が必要不可欠です。ちなみに、厚生労働省の「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」で「法務事務」を検索すると、「企業法務担当」がヒットし、職業別名は「法務系事務員」、職業分類は「その他一般事務の職業」と表示されます。
同サイトによると、日本における就業者数は3,407,430人であり、令和2年度の有効求人倍率は0.39倍。こうした数字から鑑みても、転職のハードルが高い職種であることが分かります。
なお、法務事務と混同しやすい職種として「法律事務」があります。こちらは職場が法律事務所に限定され、さらに業務内容は弁護士のサポートである点で法務事務とは大きく異なります。
法務事務の役割・仕事内容
企業における法務の仕事は、企業の法律関係のすべてを把握し適切に対処することです。特に世の中から企業コンプライアンスが求められる昨今、法務の役割は非常に重要なため、担当者は正社員がほとんどを占めています。ただし、法務事務の場合は経験のある派遣社員というケースもあるようです。仕事内容を詳しく見ていきましょう。
契約・取り引き法務
企業が顧客と業務取り引きをするには一般的には契約書が必要であり、その作成と審査、締結交渉などを担当します。具体的には、顧客との売買契約や業務委託契約、秘密保持契約などが挙げられます。顧客が海外の場合は、海外とのやり取りも必要になってきます。
組織法務
株式(証券)の発行や分割、管理など株式に関わる業務のほか、株主総会や取締役会の実施(総務部門のサポート)も行います。
コンプライアンス法務
コンプライアンスプログラム、リスクマネジメントなどを研修や勉強会を通じて全従業員に徹底します。企業コンプライアンスの重要性から、コンプライアンス専門の部署を設置している企業も珍しくありません。
紛争対応法務
企業が法的な問題に問われた際、あるいは法的な問題を問う際に中間に立ち、解決に努めます。解決が不可能な場合は、顧問弁護士や外部専門家らと共に訴訟や交渉にあたることもあります。また、各部門からの法律相談や訴訟にも応じます。なお、上記「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」によると、タスクの64%が各部門からの相談や訴訟となっています。
法務事務の仕事の魅力ややりがいは?
企業において非常に重要なポジションの法務の仕事。その魅力ややりがいについてご紹介します。
法務は企業の守り神!
法務が法律をしっかりと理解して業務を遂行することで、企業は法律に抵触しなくて済みます。あるいは被害が最小限で済み、企業イメージもクリーンに保てます。法務は企業の縁の下の力持ちであり、影の立役者、つまり企業の守り神なのです。
法律の知識を活かし、伸ばせる
法務担当者は法学部や法化大学出身者が圧倒的に多く、業務において大学・大学院で学んだ法律の知識を活かし、さらに深化させられます。資格が必要な弁護士になるのは諦めたとしても、法務なら企業で給与をもらいながら法律のプロになれます。
最高レベルのビジネスセンスが身につく
川上から川下まで、業務を通じて企業経営についての知識がつくため、最高レベルのビジネスセンスが身につきます。近年では法務職を極めることで、CLO(最高法務責任者)というポジションに配置されることも増えています。ビジネスセンスを磨きながら経営のTOPを目指せるのも法務の仕事の大きなやりがいのひとつです。
法務事務の仕事で大変なこと
法務は企業の守り神だけにその責任は重大です。特に大変なことをご紹介します。
日常でも法律へのアンテナを研ぎ澄ます必要がある
毎年のように実施される法改正に対して、常に敏感でなくてはいけないのが法務の大変な点です。日常でもニュースや新聞などで情報収集に努め、法改正があった際には即対応する必要があります。
誤認識が企業経営を揺るがすことも
法務が企業を支えている=法務が企業を失墜させる可能性も大きいということです。「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」によると、法務担当者は1社あたり約9人とのことですが、中小やベンチャーの場合はごく少人数で企業経営を支えなくてはいけません。法律の誤認識は企業経営を揺るがしかねないので、ミスが許されないプレッシャーと常に背中合わせです。
法務事務志望に求められる具体的なスキル・資格や人柄
法務担当者にはさまざまなスキルや知識が求められますが、実は資格や学歴は特に不問です。どのような素質を持っていたら法務事務に近づけるのか、ご紹介します。
語学力
企業のグローバル化に伴い、英語を用いた契約の機会も加速しました。英文の契約書は日本語の契約書とは体裁が異なるため、英語を理解していないと不利益を生じる原因にもなりかねません。そのため、法務担当者には日常会話以上の英語力に加え、法律英語の知識も求められます。
コミュニケーション能力
法務担当者には社内外のステークホルダーとやりとりする任務があります。そのため、高度なコミュニケーション能力が欠かせません。
敏感さと柔軟性
頻繁な法改正に対応するためには、日頃から情報をキャッチアップするアンテナと柔軟性が欠かせません。日頃から社会情勢やトレンドなどにも目を配り、全力で企業を守る必要があります。
法務事務への転職を未経験や中途から目指すには?
未経験/第二新卒でも法務事務を目指す場合は、どうしたらいいのでしょうか。確認していきましょう。
別部門からの異動を狙う
残念ながら法務の配属ルートは新卒もしくは社内他部門からの異動がほとんどであり、中途採用は少ないのが現状です。そのため、法務の仕事に就くなら、まずは法務に注力している企業に転職し、他部門で経験とスキルを積み、異動願いを出すのが現実的かもしれません。もちろんその間、法律に関する勉強を進めましょう。「ビジネス実務法務検定」「ビジネスコンプライアンス検定」など、法務への転職に有利に働く資格の取得も目指してください。
こちらの記事では「異動」についても言及しています。興味のある人はぜひご覧になってください。
派遣社員として入社しスキルを積む
正社員での法務事務は経験者が前提なのがほとんどですが、派遣社員なら未経験歓迎という求人もちらほらと見かけます。まずは派遣社員として法務事務デビュー、スキルを積むのもおすすめです。中には、正社員前提の紹介予定派遣の案件も存在します。
転職エージェントに相談する
求人があった場合も、即戦力になる経験者がほとんどです。そのため、未経験の場合、転職可能性はほぼ0に近いでしょう。キャリアが浅い第二新卒も難しいと言えますが、諦めるのはまだ早いです。転職エージェントという力強い存在がいます。相談だけでもOKですし、非公開求人も取り扱っているため、法務事務に近づける求人だってあるかもしれません。
特に第二新卒や未経験に特化したエージェントなら、親身になってくれるはずです。
こちらの記事では、第二新卒や未経験に強いエージェントをご紹介しています。ぜひエージェント選びに役立ててください。
未経験/第二新卒でも法務事務を目指す方法をまとめると…
- 別部門からの異動を狙う
- 派遣社員として入社しスキルを積む
- 転職エージェントに相談する
おわりに:転職エージェントを活用して狭き門に挑もう!
未経験や第二新卒が企業の法務部に転職するのは確かに至難の業です。それでも、法務事務のアシスタントになる、他部署から異動するなど、必ずどこかに抜け道はあります。
転職エージェントはそうした抜け道についても精通しているし、法務事務の仕事に近しい求人も指南してくれるはずです。法務事務の転職を目指すには、ぜひエージェントを活用して狭き門を突破するヒントを手にいれましょう。