サービス業とは?仕事の種類ややりがい、向き不向きまで詳しく紹介します
日本の産業のうち、約7割を占めているサービス業(第三次産業)。就業者数の増加率も大きく、この記事を読んでいる方の中にも自分が意識していないだけでサービス業に従事している方が多いのではないでしょうか。
今回の記事では、転職先としてももっともリアリティのあるサービス業をクローズアップ。今さら聞くに聞けないサービス業の定義から今後の展望までを網羅して紹介します。
この記事のもくじ
サービス業とは何か?
サービス業を一言で言えば、「顧客の欲求を満たすサービスを取り扱う産業」です。
身近な例を挙げると、「美味しいものが食べたい」であれば飲食店。
「髪を切りたい」であれば美容院。
「旅行に行きたい」であれば旅行代理店が欲求を叶えてくれます。
このように、「WANT」を叶えてくれるのがサービス業。つまり、人の欲求の数だけサービス業に属する業種があるということになります。
広義では第三次産業(農林漁業などの第一次産業・製造業や建設業などの第二次産業に分類されない産業すべて)とほぼ同義とされており、形のない財(サービス)を提供する非製造業全般のことを指します。
サービス業の定義①
経済産業省が作成・公表する「第三次産業活動指数(日本における第三次産業の動向を把握するための経済指標)」では、サービス業を「個人向け」「事業所向け」の2つにカテゴライズしています。
- 個人向け:理容美容、旅行、娯楽、自動車整備等
- 事業者向け:法務、税務、物品賃貸(リース)等
サービス業の定義のひとつとして頭に入れておきましょう。
サービス業の定義②
サービスの業種別にサービス業を分類するものです。主に3つのサービスに分かれます。
情報を提供するサービス
情報を提供してくれたり、相談に乗ってくれるサービスで、近年のサービス業の中でも大きく飛躍しているサービスのひとつです。
その牽引役とも言えるのが、インターネットを利用した情報提供サービス業。
コンピュータの登場前からラジオやテレビなど情報提供サービス業は存在しましたが、そのニーズはインターネットの台頭により低下傾向にあります。
モノを提供するサービス
食事や飲み物を提供したり、さまざまな「モノ」を貸し出すレンタルサービス、モノを届けるサービスのことを指します。
運輸業や卸売業・小売業、不動産業、物品賃貸業などの業種が該当します。
便利さや快適さを提供するサービス
生活のサポートをするサービスやモノの修理サービス、教育サービスなどのことを指します。
特に近年では高齢化の影響から医療・介護サービス、共働き世帯の増加から家事代行サービスなどが需要拡大の傾向にあります。
サービス業の種類
サービス業の種類はさまざまあるので、ここでは、主なサービス業の職種と職業例に絞って紹介します。
販売・接客職
サービス業を代表する職種といっても過言ではないのが、お客様に商品を販売するためのサービスを行う販売職です。具体的には下記のような職種が該当します。
- スーパーやコンビニの店員
- ホテルスタッフ
- 美容師
- キャビンアテンダント
- ツアーコンダクター
技術職
製品の開発や製造、修理などを担当するプロフェッショナルな職種です。技術職には、専門の高度なスキルが求められます。
- 整備士
- エンジニア
- プログラマー
- 建築士
- 設計士
専門サービス職
いわゆる「士業」と呼ばれる仕事です。専門的な知識とスキルを駆使して人をサポートする職種のことを指します。要資格の職業がほとんどで、資格無しでは職に就くことはできません。
- 弁護士
- 司法書士
- 行政書士
- 税理士
医療・福祉職
高齢化社会が進む中、将来的にもっとも必要となる職種であり、同時に、人材不足が問題視されている職種でもあります。
- 医師
- 看護師
- 介護士
公共サービス職
私たちの税金から成り立つ公共事業を担うサービス職です。つまり公務員であり、民間企業よりも人の命に携わる業務もあることが特徴です。
- 消防士
- 警察官
- 教員
クリエイティブ職
クリエイティブ職と言うと芸術家や、広告業界などの編集やデザイナー、プログラマーなどを思い浮かべるかもしれませんが、俳優や歌手などもクリエイティブ職に分類されます。これらの職種に属する方々も、私たちの欲求を満たすサービスを提供してくれることからサービス業従事者に分類されます。なお、上記の技術職の中には、クリエイティブ職を兼ねるケースも多いです。
- 俳優
- 歌手
- レポーター
- アナウンサー
- 芸術家
- デザイナー
サービス業の特徴
サービス業にはいくつかの共通した特徴があります。説明する前に、サービス業には5つの「特性」があると言われています。それが「同時性」「不可分性」「不均質性/変動性」「無形性/非有形性」「消滅性」ですが、これを理解しようとすると少し難しいので、厳選して、噛み砕いて説明します。
扱うのは「無形商材」
サービス業は基本的に目に見えない、無形の商材を取り扱います。無形商材の代表的なものには、サービスや広告、教育や金融商品などがあります。「情報」や「快適さ」を提供するサービスがこれにあたります。
生産と消費が同時に起こる
同じ時間や空間でサービスと消費が同時に行われます。そのため、在庫は常に0ということになります。例えば、美容院やマッサージ店のサービスが挙げられます。顧客を対象とするのでサービスを提供したら終了、そのため、在庫という概念は存在しません。
さまざまな企業が新規参入する
人の欲求の数だけサービスが生まれるのは前述の通りです。流行のサービスをターゲットとした企業が次々と新規参入し、市場がカオス状態になることも。一時期のタピオカブームなどは記憶に新しいですよね。
サービス業のやりがい
サービス業の最大のやりがいは、顧客の顔が見えにくい第一次産業・第二次産業とは異なり、相手の顔が見えることでしょう。相手の顔が見えて笑顔や感謝の気持ちをもらえるということは、さらなるベストパフォーマンスの提供(=企業の収益)にもつながります。もちろん、自分自身のスキルや価値も高まり、所属している企業からも評価されることになります。
また、業務を通じて得た「気付き」を自分なりにブラッシュアップしていくことができるのもサービス業ならではのやりがいです。
サービス業と接客業の違いはこちら:
サービス業で働くメリット・デメリット
サービス業で働くことで得られるメリットは、主に下記が挙げられます。
- ホスピタリティを学べる
- 新しいサービス業を構築する気付きをもらえる
- 一度サービス業を経験すると、転職時にもホスピタリティが評価される
- 平日を有効に使える
- 業種によっては独立も夢ではない
一方でデメリットには、下記のようなものが考えられます。
- クレーマーもいるのでストレスが溜まる
- 給与が休めで残業代がないことも
- 年間休日数が少ない
サービス業に向いている人・向いていない人
サービス業は人と人、人とモノ(企業)を結びつけるサービスが基本となるため、おせっかいなくらい人と関わることが好きな方、コミュニケーションスキルに優れた方がサービス業には向いています。時代や消費者のニーズの変動が激しい業界なので、トレンドに敏感な方、情報収集が得意な方であれば変化を楽しみつつ新しいムーブメントをつくり出せることでしょう。
一方でサービス業に向いていないのは、昔ながらの職人気質な方です。サービス業界は変化すら楽しむ業界です。変化を恐れる方はサービス業よりもほかの業種を検討するか、同じサービス業でも頑なにスタイルを変えない老舗企業で働いた方が自分も周りもハッピーです。
求められているスキル・資格は?
サービス業にもさまざまな業種・職種があり、それぞれ求められるスキルや資格は異なります。ただ、サービス業に共通して求められるスキルは、社会人としての常識やマナー、そして身だしなみや清潔感です。サービス業に属する仕事は対「人」の仕事が多いことからも最低限人前に出ても恥ずかしくない行動と身だしなみを心得てください。
サービス業こそが日本の産業の金字塔!
経済産業省が2020年6月に発表した、2020年4月の第三次産業指数は3カ月連続で低下しているものの、これは感染症の影響だとされています。それもそのはず、第三次産業(サービス業)のみならず日本全体が自粛モードにあったのだから! それを挽回するかのように、魅力的な新サービスを次々とリリースしているのも第三次産業ならではの強みです。
自粛モードが本格的に解除されたら、日本国民だけではなくインバウンドもサービス業に戻ってくることも明らか! 今後も日本を代表する産業であるサービス業から目が離せません。