公務員に転職したい!第二新卒や既卒でもできる?
安定した職業の代名詞である「公務員」はいつの時代もみんなの憧れでしたが、終身雇用も終焉を迎え、実力主義の時代となった昨今、特に人気が集まっています。いつどうなるかわからない今の会社での働き方よりも、地に足をつけて働くことのできる公務員に転職したい!と考えている人も多いようです。今回は、第二新卒や既卒で公務員を目指したい方向けにアドバイスを致します。
この記事のもくじ
そもそも公務員って転職を受け入れてくれるもの?
「今からでも公務員になりたい!」と思うのは勝手ですが、実際に新卒でなく公務員に転職している人が身の回りにいない、という方も多いことでしょう。すでに学校を卒業して就職の経験がある第二新卒、もしくは卒業後就職せずにいた既卒の方にもチャンスはあるのでしょうか。
結論から言うと、第二新卒や既卒の方でも公務員への転職は可能です!これまで年齢制限や採用試験の難しさをハードルに感じて諦めていた方は今からでも遅くありません。
公務員への転職と一般企業への転職の大きな違い
第二新卒でも既卒でも公務員への就職(転職)が可能であるという事実は、これまで新卒でなければ公務員になれない、と思い込んでいた方にとっては朗報ですよね。ただし、実際公務員への就職(転職)を検討するのであれば知って置かなければならないポイントがいくつかあります。公務員への転職と、一般企業への転職でどのような違いがあるのかをまとめましたので、自分は公務員への就職(転職)に適応があるかどうかチェックしてみてください。
一般枠・経験者枠
公務員に就職(転職)する際に知っておかなくてはならない1つ目のポイントとして「一般枠・経験者枠」というものがあります。
一般枠は、各省庁や自治体が定めた年齢条件(30歳前後が一般的)であれば原則的に誰にでも受験のチャンスがあります。学歴の制限や条件(専門卒以上、短大卒以上など)があるケースもありますが、これまでどのようなキャリアを歩んできたかや、社会人経験の有無、資格の有無などは問われません。大量採用の傾向にあるため、受験チャンスのある対象者は多いのが特徴ですが、新卒もこの対象となるため一概に簡単に合格するとは言えません。
経験者枠は読んで時のごとく、これまで民間企業などをはじめとした企業・団体で就業経験のある方を対象とした採用試験枠です。社会人としての経験があることを第一条件としているため、先に説明した一般枠と比較すると対象年齢が高く設定されているのが一般的で、各省庁・自治体によっては59歳まで受験チャンスがあるケースもあります。一番の目的は即戦力となる人物を採用することなので、これまで1年~10年程度の職務経験を有することが最低条件となっているのが特徴です。そのニーズにこたえるためにも、これまでのキャリアで培ったことをしっかりとアピールできる人こそが合格により近い対象者と言えるでしょう。
試験制度
民間企業への転職の場合には、テストセンターやGAB/CABなどを実施した後に基本的には人事担当者や役員などと面接を重ね内定にたどり着きます。公務員の場合には4項目の試験で構成されており、試験の内容は以下の通りです。
・教養試験
一般知能とされる、文章理解(現代文・古文・漢文・英文)、数的処理(数的推理・判断推理・資料解釈)が出題されます。また一般知識として人文科学(日本史・世界史・地理・思想・文学・芸術)、自然科学(数学・物理・化学・生物・地学)、社会科学(政治・法律・社会・経済)も出題範囲となります。
・専門試験
行政系の専門科目として、法律系(憲法・民法・行政法・刑法・商法・労働法)、経済系(経済原論・財政学・経済史・経済事情・経済政策・経営学)、行政系(政治学・行政学・社会学・国際関係・社会政策)が出題されます。
・論文試験
・面接試験
経験者枠の場合には、教養試験や専門試験よりも後者の論文試験や面接試験を重視する傾向にあり、教養試験そのものが実施されない省庁・自治体もあります。科目や難易度は各省庁・自治体によって異なり、統一されたものではないということも知っておきましょう。上記の科目すべてが出題されるわけではありませんが、事前準備なしに合格できる試験ではないことがおわかりいただけたのではないかと思います。受験してみよう!と思ったら、国家公務員を目指す場合には人事院、地方公務員を目指すのであれば各自治体が発表している試験情報をこまめにチェックするようにしましょう。
でも実は、公務員も若手の離職率は結構高い
「定年まで安定して働けるから離職率は低そう」というイメージの強い公務員ですが、実際のところはそうでもないようです。公務員の離職率は、18歳から29歳までを指す若年層での離職率はおおよそ10%と言われています。全業種での離職率は約20%なので、民間企業よりは低いと思われる節もありますが、「公務員は楽」「公務員は安定している」「公務員はワーク・ライフ・バランスが最高だから辞めたくなるはずがない」と思っている方がいれば驚きの数値なのではないでしょうか。
というのも、公務員は若年層の離職率が最も高く、年齢を重ねていくごとに30歳以上で離職率は約3%、40歳以上になると約2%にまで減ります。つまり、公務員になって10年以内で辞める人が最も多いのです。
失敗せずに公務員に転職するポイント
もし、現在民間企業に勤務していて公務員を第二新卒で目指している方であれば、次の転職は長続きさせられるようにしたいですよね。既卒の方であれば、初めて就職することになるので実情をよく知った上でチャレンジしたい気持ちもあるでしょう。そこで、若手で公務員を辞めてしまう人の理由を参考に、失敗せずに公務員に転職するポイントを解説します。
離職の理由その1:実際の仕事イメージとの乖離
公務員というと、日々国民のよりよい生活のために働いているイメージがありますので、公共性が高く、やりがいのあるスケールの大きなプロジェクトに携われる職業であるとお考えの方も多いでしょう。実際に公務員になった方へのアンケートでは、「公共性の高い、やりがいのある仕事ができそう」という理由で志した方が多く、給与や将来が安定していることを理由に目指した方はそう多くないようです。
そのような高い志を持って就職したからこそ、業務の内容が想定していたものと大きく乖離してしまっている場合に離職につながってしまっているのが現状です。特に、仕事内容の偏りは離職事由に多いそうです。
離職の理由その2:想定外の激務
公務員と聞くと、安定していてやりがいがありそうというイメージの他に比較的仕事が楽であると思っている方がいます。しかし、同じ公務員でも定時出社定時退勤ができる仕事内容の人と、残業続きのハードワークの人、その両方がいます。公務員だから毎日定時で仕事を終えて帰宅できる、というイメージのままに就職してしまったがために離職につながってしまう方もいるようです。
離職の理由その3:給与が低い
40代以降になれば、想定していた程度の給与が支払われるようにはなるものの、若手のうちは民間企業よりも低い基準にある場合もあります。若い頃から競争の中で高い給与を受け取りたい!と考える方にとってはあまり刺激がない、もしくは対価を支払われていないような感覚になり離職してしまうようです。特に、民間企業への転職を果たす方はこの理由が最も多いそうです。
現在公務員への転職を検討している場合には、以上の離職理由は自分が持っている公務員の業務・給与・ライフスタイルに当てはまっていないかチェックしましょう。誤ったイメージのままで就職してしまうとまたキャリアが振り出しに戻ってしまいます。
公務員志望の第二新卒、既卒が今日からはじめるべきことは
ここまで読んで、「それでも公務員になりたい!」を思われた方は、明日と言わず今日からその準備に取り掛かりましょう。すぐにでも始めたい準備を紹介します。
受験資格の確認
自分の年齢が応募条件に当てはまっているかを確認しましょう。公務員試験では、応募する先によって年齢制限が異なります。
受験する試験を選択
年齢やこれまでのキャリアによって、先に説明したとおり一般枠・経験者枠といった受験枠が異なります。人によっては、いずれも受験できるので、チャンスを減らさないためにもきちんと確認しましょう。募集要項や条件、採用人数などはくまなくチェックして少しでもチャンスを増やせるといいですね。
試験の内容・レベルを確認
応募できるということが確認できたら、試験に備えましょう。公務員試験と一口に言っても、採用先によって出題内容・傾向は異なりますので、苦手な範囲をわかりやすく解説しているテキスト・問題集などを書店で探しておくと安心です。
学習プランを立てる
現在勤務中の方にとって、日常の業務に加えて試験対策の勉強をするのは大きな負担になります。とはいえ、公務員になるためには欠かせない勉強ですので計画的に合格に向けて学習できるようスケジュールを組んでおきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。第二新卒や規則での公務員への就職(転職)は想像以上に大変なものであるという印象を受けた方もいれば、だからこそそのチャンスをつかみたい!となおさら思われた方もいらっしゃるでしょう。いずれの方も、「なぜ自分は公務員になりたいのか」ということを今一度考えてみた上でチャレンジしてみてくださいね。