キャリアアドバイザーになるには。第二新卒からの転職を成功させる方法
「キャリアアドバイザー」という職業を聞いたことがあるでしょうか?
転職エージェントなどを利用したことがある人の中には、お世話になったことがあるという人も多いでしょう。
キャリアアドバイザーとは、就職や転職、仕事探しなどの相談に乗ってくれる人のことを指します。大学のキャリアセンターやハローワークで相談に乗ってくれるのもキャリアアドバイザーの人ですね。
キャリアアドバイザーは仕事を探す人の役に立つ、やりがいのある仕事ですが、第二新卒・既卒からも目指すことはできるのでしょうか?キャリアアドバイザーの仕事内容や就職の仕方、向いている人の特徴などを見ていきましょう。
この記事のもくじ
キャリアアドバイザーの具体的な仕事内容
「キャリア」とは、仕事で得られる経験や、進路、自分が積み上げていきたいスキルのことです。仕事のキャリアのみならず、どんな人生を歩みたいか、ワークライフバランス、社会の中での役割など、人生全体をどのように生きていきたいかという視点で考えていくものです。
キャリアアドバイザーは、この「キャリア」を特に「仕事」の面からサポートしていきます。進学、就職、転職、昇進などどんな選択をすべきか迷っている人に対して、アドバイスを行い適切な一歩を踏み出せるように後押しするのです。
一方で、キャリアアドバイザーの仕事は、就職や転職を目指す人の相談に乗って、就職先を紹介するだけではありません。
大学のキャリアセンターや障がいを持つ人の就職支援、一般企業の人事部門など活躍する場面はさまざまに広がっています。
人材業界
転職エージェントや人材派遣会社に勤務して、求職者のサポートを行うのが人材業界のキャリアアドバイザーです。1日に3~5人程度の求職者と面談して希望をヒアリングし、希望にマッチする企業を紹介するのがメインの仕事です。コロナ禍においては、オンライン面談もスタンダードになりました。
特に転職エージェントの場合は、求職者の企業への紹介にあたって職務経歴書などの書類の添削、面接指導、面接日時のセッティングも行い、転職成功をサポートします。また、転職成功後も、相談を持ちかけられた時などはフォローに回ります。一方、今すぐ転職を希望していない人に対しても将来のキャリアについて無料で相談に乗ります。
登録している求職者の転職活動の進捗をメールや電話などで定期的に連絡をするのも業務のひとつ。求職者と企業のミスマッチを避けるべく、求職者の本音を引き出す話術がもっとも重要になります。
一般企業
特に大手企業の人事部門には、キャリアに関する相談ができる部署があります。「企業内カウンセラー」と呼ばれる人がキャリアアドバイザーとしての役割を担います。
人事異動に関することや、仕事をする上で困っていること、将来のキャリアに関する相談などに乗ることもあるでしょう。特にメンタルヘルスケアの重要性が叫ばれる昨今は、社員のストレス管理もキャリアアドバイザーが担当することもあります。産業医などともタッグを組み、社員のメンタルヘルス改善・向上に努めます。
ハローワーク
公的な職業紹介機関で求職者からの職業相談を担当しているのもキャリアアドバイザーです。一般的には、「キャリアコンサルタント」と呼ばれることの方が多いようです。ハローワークや、若者の就職を支援するジョブカフェ、高齢者就職支援センターなどです。ハローワークも、就職先を探している人の相談に対応するのが主な仕事となります。また、近隣企業からの求人の受理や求人を開拓するのもキャリアアドバイザーの仕事のひとつ。職業訓練の受講の斡旋なども行います。
大学のキャリアセンター
大学のキャリアセンターにいるのもキャリアアドバイザーです。大学によっては、OB・OGや、就活を終えた現役の学生がキャリアアドバイザーを担うケースもあります。就職を控えた学生に向けて、履歴書の書き方や面接対策といった就職支援のほか、学生の就職先・学生インターン先の企業の開拓なども行います。そのほか、在学生に向けたイベントの企画・運営などを担当することもあります。割と営業要素が高めなのが特徴です。
NPOなど
就職支援等を行うNPOでキャリアアドバイザーとして働いている人もいます。例えば障がい、ひきこもり、不登校など個別のサポートが必要な人に対する支援を行います。キャリア相談はもちろん、利用者の入所サポートや支援計画の作成・実施、就職先企業とのコミュニケーションや定着支援など、仕事内容は多岐にわたります。
昔のように、一度就職したら年功序列で給与が上がるということはありません。スキルを身につけ、転職・独立といった選択をする人も増えています。自分らしい生き方をするためには、キャリアについてきちんと考える機会を持つことは重要です。
今後さらに、キャリアアドバイザーが活躍する場面は増えていくでしょう。
キャリアコンサルタントとの違い
「キャリアコンサルタント」は2016年に施行された職業能力開発促進法で定められた国家資格であり、この資格を保有せず「キャリアコンサルタント」を名乗ることは法律で禁じられています。資格試験を受験するためにも、厚生労働大臣が認定する養成講習の受講(140時間)か、キャリアコンサルティングの実務経験(3年以上)が必要になります。
一方、キャリアアドバイザーに必要な資格は特にありません。しかし、キャリアアドバイザーに就職・転職する際には「キャリアコンサルタント」の資格が優遇される傾向が強いです。
未経験からキャリアドバイザーになりたい!
未経験からでも、キャリアアドバイザーになることは可能なのでしょうか?求人の情報をチェックしてみると、未経験からも応募ができるキャリアアドバイザーの仕事はいくつも存在しています。
まずは「未経験可」の求人にアプローチしてみるのがいいでしょう。
経験してきた職種に特化した人材会社を選ぶ
未経験、他業種からの転職で、人材系の企業にキャリアアドバイザーとして就職したい場合は、これまで経験してきた業界に特化した人材会社を選ぶというのもおすすめです。
転職エージェントなどをみると分かりますが、「IT・Web業界に強い」「第二新卒・既卒に特化」などそれぞれ得意とする分野を持つ人材会社は多いです。そういった企業では、実際にその業界で働いたことのあるキャリアアドバイザーを欲しています。なぜなら、業界経験者だからこそ専門知識が分かり、就職・転職希望者の気持ちも理解しやすいからです。
キャリアアドバイザーは、転職の経歴や他業種で働いたことがあるキャリアがプラスになりやすい職種と言えますから、これまでの経験を活かせる企業を選ぶのが良いでしょう。
キャリアコンサルタントなど資格を取得しておく
また、キャリアアドバイザーには、専門的なスキルや知識が必要になる部分もあるため、資格取得を目指してみるのもいいでしょう。前述の「キャリアコンサルタント」の資格がもっとも有名です。民間の資格もいくつかありますが、取得するメリットをよく調べてから目指すようにしましょう。
第二新卒や既卒がキャリアアドバイザーを目指す方法
第二新卒・既卒からもキャリアアドバイザーを目指すことはできますが、求人を探す際に、第二新卒、既卒、未経験の人に注目していただきたいポイントがあります。
研修制度や人材育成の有無を確認しておく
その1つ目が「人材育成」がしっかりしているか?という点です。
専門的な知識やスキルが必要になるキャリアアドバイザーという仕事ですから、応募する企業の研修制度や人材育成の考え方はきちんと確認しておきましょう。
アシスタントからのステップアップを狙う
さらに、「キャリアアドバイザーアシスタント」の職種からステップアップを狙うというのも有効です。アシスタントとして、キャリアアドバイザーの仕事をサポートする役割からスタートできるので、未経験からでも不安が少なく始められるのではないでしょうか。
キャリアアドバイザーは第二新卒・既卒の採用をしている?
第二新卒・既卒の転職に強みを持つ転職エージェントの中には、「キャリアアドバイザーの全員が第二新卒・既卒」という企業もあります。第二新卒や既卒が転職の際のメリットと
なる場合もあるのです。これは、新卒入社から3年以内の離職が約3割(※)と言われる中、同年代のキャリアアドバイザーだからこそ求職者の悩みを理解し、寄り添えると考えられているためです。
さらには、未経験歓迎としている求人も山積しています。ただし、最低でも社会人経験は求められるようです。特に営業や販売などの経験があり、コミュニケーションスキルが高い人は優遇される傾向にあります。相談者と信頼関係を構築するのがもっとも重要な業務なので、当然とも言えるでしょう。
なお、未経験からの狙い目は、中途人材紹介の転職エージェントよりも新卒向けの就活エージェントです。中途人材紹介の転職エージェントでは、求職者もある程度業界や職種に関しての知識を有しているのでキャリアアドバイザーにも深い知識や理解が求められますし、求職者の年齢も多岐に渡りますが、新卒向けのエージェントではそこまで求められませんし、求職者の年齢も年下なので「社会人経験がある先輩」としての対応ができます。
(※)https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00004.html
実際にキャリアアドバイザーになれたら、こんなやりがいがある
キャリアアドバイザーの仕事のやりがいは、どんなところにあるのでしょうか。
人の役に立てる
仕事を探している人や、キャリアについて悩んでいる人が、キャリアアドバイザーを頼って来てくれます。そういった人たちの悩みや困りごとを解決することで大きなやりがいを感じられる人は多いでしょう。目の前にいる相談者から直接「ありがとう」と感謝の言葉をもらえる機会があるかもしれませんね。
さまざまな価値観に触れられる
10人いれば、10通りのキャリアがあります。
日々さまざまな人と出会い、その価値観やキャリア観に触れることができるのがキャリアアドバイザーの仕事ではないでしょうか。
人との出会いから、自分自身の価値観も多彩に広がっていくかもしれません。
相談者の「人生」に関われる
キャリアアドバイザーの仕事は、「就職」「転職」といった出来事に関わるだけではありません。仕事探しは、その人の人生に大きな影響があります。相談者のこれからの「人生」に寄り添い、一緒に考えるのがキャリアアドバイザーの醍醐味とも言えそうです。
キャリアのプロフェッショナルになれる
キャリアアドバイザーは専門的な知識やスキルが必要とされる仕事です。テキストを眺めて勉強をしているだけでは身につけることができないスキルや経験を、業務を通して習得することができるでしょう。
キャリアのプロフェッショナルとして、さらにステップアップを目指すという働き方もできます。
キャリアドバイザーとして働く、辛い部分
やりがいの反対に、キャリアアドバイザーの仕事の大変さ、辛さはどんな点でしょうか。
ビジネスとして成果が求められる
キャリアアドバイザーの仕事は、キャリアのアドバイスをする「相談業務」と思われがちですが、相談者と話しているだけの仕事ではありません。ビジネスとして、企業と求職者とのマッチングを行うことを求められます。
当然成果を上げなければいけないため、「人助け」「相談に乗るだけ」という考え方では仕事になりません。決められた期限の中で、相談者も求人企業も満足するような成果を出さなければいけないのです。
気持ちの切り替えが難しい
相談に来る人はさまざまな悩みや困りごとを抱えています。就職・転職の相談となれば、リストラや介護問題、待遇への不満などネガティブな話が話題に上がることもあります。
相談者は性別、年齢も幅広く、波長が合う人がいれば合わない人もいるでしょう。そういった環境の中で、1日に何件もの相談に乗らなければいけません。
気持ちの切り替えをしながら、一つひとつの仕事に向き合える人でなければ辛いと感じてしまうかもしれません。
自分の価値観・経験を押し付けてはいけない
友人の相談に乗るときを思い出してみてください。ついつい自分の経験や価値観で、アドバイスをしてしまうことはありませんか?
自分が経験したキャリアの悩みや経験を伝えることは共感を得るためにも有効ですが、「こうあるべき」「こうしなさい」と指示することは避けましょう。
目の前にいる相談者の「キャリア」は自らスタートさせるべきものです。キャリアアドバイザーが過去に同じような経験をしていたとしても、自分の価値観を押し付けるべきではありません。きちんと相手に寄り添える人でなければ、適切なアドバイスができないでしょう。
キャリアアドバイザー職に向いている人の特徴
キャリアアドバイザーのやりがいや大変さから、向いている人を分析してみましょう。
包容力がある
十人十色の相談すべてに柔軟に対応し、より良いキャリアへと導くのがキャリアアドバイザーの使命です。理不尽、不可能と思われる相談も受け入れる、包容力がある人が向いています。
傾聴力がある
キャリアアドバイザーは、相談者と信頼関係を構築しなくては、仕事の紹介や提案など、次のステップに進めません。信頼関係の構築は、まず人の声だけではなく心に耳を傾けることが重要です。特に人から悩みを相談されやすい人は、傾聴力に長けています。キャリアアドバイザーに向いていると言えるでしょう。
コミュニケーションスキルが高い
キャリアアドバイザーは、求職者と企業との橋渡し役的な役割を担います。どちらにも希望はあるわけですし、双方の話に耳を傾け、物事を進める必要があります。つまり、コミュニケーションスキルが欠かせません。もちろんお金をいただくのは企業からなので企業ファーストではありますが、企業に寄りすぎると相談者は心を開いてくれないかもしれません。この絶妙なバランス感覚は「慣れ」もありますが、大前提としてコミュニケーションスキルはマストです。
責任感がある
どんな業界でキャリアアドバイザーとして働くとしても、他人のキャリア=人生を背負うことになるので大きな責任感とプレッシャーが伴います。どんなに困難な状況であっても途中で投げ出すことなく、やり遂げられるだけの精神力や責任感を持っている人がキャリアアドバイザーには向いています。
転職経験がある
人材業界のキャリアアドバイザーにおいては、自らに転職経験があることが強みになります。なぜなら、求職者の悩みや希望に共感でき、より良い選択肢を提案できるからです。転職の成功経験、失敗経験、すべてがキャリアアドバイザーの実務における貴重なスパイスになり得ます。
第二新卒からキャリアアドバイザーを狙うなら?
未経験も歓迎する傾向が高いのがキャリアアドバイザーの職種の特徴のひとつですが、企業側も中途採用では即戦力を求めるので、第二新卒の未経験が経験者よりも立場が弱いのは明らかです。そのような状況からキャリアアドバイザーを狙うのなら、いくつかのポイントをおさえて転職活動を進める必要があります。
キャリアアドバイザーの転職に必要な資格やスキル
キャリアアドバイザーに特に資格は必要としませんが、前述の国家資格「キャリアコンサルタント」の資格を保有していると採用に有利に働きます。キャリアコンサルタントの資格は、コミュニケーション力・ヒアリング力・自己理解を支援する力・企業や求人に関する情報収集力を持っていることの証になるので、企業の採用担当者はもちろん、相談者も安心できます。
第二新卒からキャリアアドバイザー職を狙うためのプラン
第二新卒からキャリアアドバイザー職を狙うなら、選択肢は5択になると考えられます。
- 第二新卒・未経験歓迎の求人を探す
- キャリアアドバイザーアシスタントからキャリアを積む
- コミュニケーションスキルに自信がない人は、キャリアアドバイザー職に近しい、営業や販売職などの職種に就いてコミュニケーションスキルを身につける
- キャリアコンサルタントの資格を取得する・転職エージェントに登録する
この中でも、特にキャリアアドバイザー職への近道になるのが、転職エージェントへの登録です。求人を探す、異業種でキャリアを積む、資格を取得する時間も省けるので転職活動を効率的に進められます。
キャリアアドバイザーの転職を目指すなら、こんな転職エージェントを選ぼう
転職エージェントも小規模な企業から大手まで多種多様。やみくもに登録するよりも、大手+キャリアアドバイザーの求人に強いエージェント+第二新卒や既卒に特化したエージェントに複数登録するのがおすすめです。第二新卒や既卒におすすめの転職エージェントは、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
また、実際に利用してみて好感を得たエージェントにエントリーするのも選択肢のひとつです。相談したキャリアアドバイザーから、リアルな転職対策を提供してもらえるでしょう。
まとめ:自らの就活・転活経験がそのまま活かせる「キャリアアドバイザー」
未経験からもスタートできるキャリアアドバイザーという仕事。就職や転職だけでなく、目の前にいる人の人生に寄り添えるやりがいのある仕事ということが分かりました。
キャリアアドバイザーは、転職や退職などキャリアに悩んだ経験がある人にこそ向いている仕事と言えそうです。目の前にいる相談者と同じように、進路やキャリアで悩んだことがあるからこそ、キャリアアドバイザーとして良いアドバイスができるのではないでしょうか。第二新卒・既卒であることも不利にはならないはずです。
仕事を通して人の役に立ちたい、いろんな価値観に触れてみたいという人はぜひキャリアアドバイザーの仕事にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。