【退職届のマナー】円満退社のための書き方、渡し方。(テンプレ付き)
転職を考えはじめた人が気になるのが、今働いている会社の「辞め方」ではないでしょうか?
会社を辞めるときに退職届を出すということは聞いたことがあるかもしれませんが、そのタイミングは?どんなことを書けばいいの?誰に出すの?ということは、あまり知られていないかもしれません。
これまでお世話になった会社には、感謝の気持ちを伝えて辞めたいものですよね。
円満退社ができるように、退職届のルールやマナーをまとめてみました。
この記事のもくじ
円満退職ができる退職届はどんなもの?
退職の際に大切なことは、ビジネスパーソンとして、これまでお世話になった会社へ礼を尽くして手続きを進めていくことです。一時的に上司と関係がギクシャクしてしまうケースも確かにあります。でもしっかりとルールを守り、後任に業務を引き継いでから退職するように心がけることは、円満退社をするために欠かせません。
退職を決意した際に、最初にやるべきことは在籍している会社の就業規則を確認することです。入社時に取り交わした就業規則には「退職のルール」が記されています。例えば「退職の申し出は1カ月前まで」とあれば、その期限を過ぎないように申し出なければいけません。
誰に報告し、誰に退職届を渡す必要があるのかも合わせて確認しましょう。直属の上司に申し出るのか、上司を通して人事や代表取締役が受理をするのかで、退職を申し出るタイミングにも違いが出てくるでしょう。
まずはしっかりと会社のルールを守って退職を申し出ることで円満退社に近づきます。
退職届、退職願の基本的なフォーマット
退職届、退職願はB5またはA4の白い便箋に書きます。罫線入りのものを使っても構いませんが、ビジネス用のシンプルなものを選びましょう。
黒のボールペンか万年筆を使用して書き、白無地の封筒に入れて提出します。封筒は郵便番号の枠がないものを選びましょう。用紙サイズに合わせて、B5用紙の場合は「長形4号」、A4用紙の場合は「長形3号」の封筒を使います。
退職届、退職願は縦書きで記入します。
次の項目を記入しましょう。
◆冒頭行
「退職願」(「退職届」)と書く
◆文の導入
本文一行目の下部に「私儀」または「私事」と書く
(「わたくしごとではありますが…」という意味)
◆退職理由
自己都合退職の場合、「一身上の都合」と書く
※会社都合退職の場合、「一身上の都合」とはせずに、「部門縮小のため」「退職勧奨に伴い」など退職の理由を具体的に書く
◆退職日
退職願…退職を希望する年月日
退職届…上司と合意した退職年月日を書く
◆文末の表現
退職願…「退職いたしたく〜お願い申し上げます」と書く
退職届…「退職いたします」と書く
◆届出年月日
書類の提出年月日を書く
◆所属と氏名
正式な部署名、フルネームを書き、末尾に捺印
◆宛名
組織の最高執行責任者の役名とフルネームを、自分の名前より上方に書く
※敬称は「殿」か「様」
退職届、退職願を入れる封筒のフォーマット
退職届、退職願のフォーマットのところでも少し触れましたが、封筒にもフォーマットがあります。円満退職のためにはマナーを守ってひとつずつ丁寧に対応することが大切なので、こちらも確認しておきましょう。
封筒の表面は、中央部分少し上あたりに「退職届」または「退職願」と記載します。裏面には、左下に「所属部署名」と「名前」を記載します。その際、正式名称で書くことを忘れないようにしましょう。もちろん名前もフルネームで書きます。宛名は不要です。
社内の人だから略称や苗字だけでも通用するという考えではなく、手続きをするための大切な書類だということを認識して準備するようにしましょう。
封筒に入れる時は、退職届は三つ折りに
封筒に書類を入れる際にもマナーがあるのを知っていますか?たとえば退職届や退職願のように用紙サイズより封筒の方が小さい場合は、書類を折り曲げて封筒に入れなければなりません。封筒が細い場合は四つ折りでもかまいませんが、三つ折りにして入れるのが一般的です。まず文字を書いている面を表向きにして書類の下3分の1を上向きに折り曲げ、次に書類の上3分の1を下向きに折り曲げて重ね合わせます。封筒に入るように幅を調整し、書類の端がきちんと重なるように丁寧に折りましょう。封筒に入れる際は、封筒を裏向けにした状態で書類の書き始めの部分が封入口の右上になるようにします。
細かいと感じるかもしれませんが、退職するということは周囲の人を巻き込む大きな決断であることを忘れず、ひとつひとつ確認しながら対応しましょう。
封筒の封は閉じる?
大切な書類なので封は閉じた方がいいのかなと思っている人もいると思います。封筒を手渡しするのであれば、基本的に封を閉じる必要はありません。その場で確認する可能性が高く、その場合は封が閉じられていない方が確認しやすいですし、手渡しなので誰かに中身を差し替えられるなどの懸念もないため、そのままで問題ないとされています。ただし「のりシール」がついている封筒の場合はそのままにしておくと見栄えが悪いので、「のりシール」がある場合は封をして「〆」を記載するようにしましょう。
汚れてしまったり、折れ曲がってしまった状態で提出するのは、重要な書類を雑に扱っているように見えてしまい印象がよくありません。提出するまではクリアファイルに入れるなどしてきれいな状態を保てるように努めましょう。
会社独自のルールがないか、事前に確認を
法律上は、退職日の14日前までに「退職の意思表示」をすれば退職できるとされていますが、円満退職を目指すのであれば、就業規則に従って対応することをおすすめします。退職の意思を申し出ているにも関わらず受理してもらえない場合などは、法律に従って退職することも可能だというように理解しておきましょう。
法律上の期限とは異なり、就業規則には希望退職日の1~2か月前までに申し出るように定められていることが多いです。退職の手続きや引継ぎなども含めた関係者との調整をスムーズに進めるために必要な期間を会社ごとに設定しているため、双方が気持ちよく退職するためには法律ではなく就業規則に従う方が良いでしょう。申し出るタイミングの他に、誰に申し出るのか、申し出た後どんなステップを踏まなければならないのかなども確認しておきましょう。
退職届、退職願は手書き?パソコンでの作成もOK?
退職届、退職願は基本的に「手書き」で作成する慣習がありますが、パソコンで作成してもマナー違反ではありません。パソコンで作成する場合は、最後の署名を必ず手書きで書きましょう。筆跡からあなた本人が書いたものであることを証明するためです。
もしも会社のルールで、パソコンで制作をする指示があれば、指定のフォーマットで提出しましょう。
文章の向きは「タテ書き」が無難です。読む人に丁寧な印象を与えられます。
退職届、退職願の提出はいつが良い?
退職は、企業と従業員であるあなたとの間に結ばれた「労働契約」の解除にあたります。会社のルールに従って必要な手続きをしなければいけません。
企業側と認識がずれたり、インターネット上にある情報を優先したりしてしまっては、トラブルにつながりかねません。会社の「就業規則」を確認して、退職届、退職願の提出期限があればそれに合わせて準備をしていきましょう。
「就業規則」の中に、提出方法についての指定がない場合は、直属の上司に直接渡すのが良いようです。できれば一目に触れない会議室や個室などで手渡しましょう。
一般的なフローですが、意思表示から退職までの流れは次の通りです。段階を踏んで退職となるのでスケジュールに余裕を持って進めていきましょう。
1. 退職の決意を固める
2.退職願を作成し、退職希望日を記載する
3.直属上司に退職願を手渡す / 退職願を提出せず、口頭で申し出るだけでも良い
4.上長と相談しながら正式な退職日を決める
5.就業規則に従って退職届を提出する
6.退職
正しくは、退職届、退職願、辞表…どれ?
退職時に提出する書類として「退職願」「退職届」「辞表」の3種類がありますが、それぞれどのような場面で使われるのでしょうか?
「呼び方が違うだけ」と考えている人もいるようですが、実は全く異なる役割を持った書類です。正しく理解して、間違った使い方をしないように気をつけましょう。
◆退職願
「退職したい」ということを打診するための書類
◆退職届
「退職します」ということを宣言する書類
◆辞表
経営層・公務員が組織を辞める時に提出する書類
3つの書類にはそれぞれそれぞれの用途があり、提出するタイミングも異なります。特に辞表は、社長や取締役といった役職のある人か、公務員が提出するものです。間違えないようにしましょう。
「退職願」とは
退職願は、「会社との労働契約を解除したい」という申し出のための書類です。必ずしも文書として提出する必要はなく、上司に口頭で伝える人も多いです。もし、本当に退職するか迷っているような状態であれば、退職願を提出するのはやめたほうがいいかもしれません。文書で提出してしまうと、会社に証拠書類が残ってしまうことになるからです。
一方、文明化して企業側に提出することで退職の意思の強さを示したり、申し出の証拠を残せたりする側面もあります。状況に応じて、提出するか判断しましょう。
「退職届」とは
上司との相談後、会社の承諾を得て退職が確定した後に提出するのが退職届です。こちらも、必ずしも提出が必要な書類ではありません。口頭での意思表示でも認められますが、事務手続きの記録で提出することが多いようです。
さらに退職の交渉がうまくいかないときに「退職届」を提出して、退職への意思表示をする人もいるようです。
まずは「退職願」「退職届」を用意する前に、上司など信頼できる人に退職したい気持ちを伝えてみるのが良いでしょう。その後、どちらの書類の提出が適切なのかを判断し、用意するケースが多いようです。
「辞表」とは
公務員か経営層などの重要なポジションについている人が、勤めている職を辞めるという辞意を示す書類が辞表です。辞表と退職届は性質は少し違いますが、「退職します」と意思を届け出る役割は同じだと言えます。
【退職届の正しいマナー】よくある勘違い
提出した「退職願」「退職届」「辞表」を、取り下げられる?
「退職届」「辞表」の取り下げはできません。労働契約や役職契約の解除を届け出る書類なので、提出することで契約解除が成立したことになります。
「退職願」は契約解除を打診するための書類なので取り下げが可能である場合もありますが、確実ではないのです。退職の意思があることを会社側に伝えてしまっているので、社内での立場などにも影響があるかもしれません。
「退職届」を受け取ってもらえない時はどうすればいいの?
直接の上司が退職交渉に応じてくれない場合は、さらに上の上司に相談しましょう。それでも難しい場合は人事部に相談します。
また、上司が受け取ってくれないからといって、「退職願」「退職届」をデスクの上に置いていくのはやめましょう。受け取った、受け取らない、というやりとりが生じて、問題が複雑化してしまう可能性もあります。
そういった状況になってしまった場合は、「退職を相談した日」「退職届を受け取ってもらえなかった日」といった出来事をメモに残しておくのがいいでしょう。労働基準監督署などに相談をする時にも役立ちます。
退職届を出したら、すぐに同僚や取引先に伝えても良い?
退職を決意したら、すぐにでも周囲に伝えて引き継ぎを進めたいと考える人がいるかもしれませんが、個人の判断で公表するのはマナー違反です。
会社側と話し合い、公表するタイミングを決めましょう。取引先に退職を伝える際には、後任の紹介もあわせて伝えるようにします。業務に差し障りがないように報告することが大切です。
「辞表を叩きつけてその場で辞めた!」こんなこと本当に可能?
すでに紹介したとおり、法律では2週間前までに退職の意思を申し出ていれば退職することは可能です。ただし、会社の承諾を得ず、自分の意志だけで一方的に退職しようとした場合、無断欠勤や業務妨害とされて重責解雇と扱われる可能性もあることを覚えておきましょう。解雇の場合、少なからずその後の転職に悪影響を及ぼすことが考えられます。よって、これからのあなたのためにも辞表を叩きつけるなんてことはせず、然るべきステップを踏んで退職手続きを進めるようにしましょう。
まとめ
退職の意思を固めたら、すぐにでも転職活動や引き継ぎの業務に移りたいと考えてしまいますが、まずはルールを守って退職の手続きを進めることが大切です。
誠意を持ってきちんと退職の手続きをとることで、円満退社ができるでしょう。
新しいスタートを気持ちよく始めるためにも、ポイントを押さえて退職の手続きを行いましょう。